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ナフサ不足がカルビーのパッケージを白黒にした。 その事実をアートにした、13日間の記録。

 2026年5月、カルビー株式会社は主力商品14品目の パッケージを白黒2色印刷に切り替えると発表した。 理由は、印刷インクの不足だ。 2026年2月のホルムズ海峡封鎖が 石油化学原料であるナフサの供給を絞り、 印刷インクの製造ラインを直撃した結果だった。 ポテトチップスうすしお味の青。 コンソメパンチの黄。のりしおの緑。 かっぱえびせんの赤。 見慣れたはずの色が、パッケージから消えた。 私たちはこの事実を、空間にすることにした。 企画展《色の喪失、あるいは危機の可視化》 Loss of Color : Visualizing Crisis 2026年6月3日(水)- 6月15日(月) 展示の内容は、シンプルだった。 白い壁に、白黒の商品を置く。 それだけだ。 カルビーを批判したいわけではなかった。 称賛したいわけでもなかった。 ホルムズ海峡封鎖というマクロな地政学リスクが、 ポテトチップスのパッケージというミクロな日常品に 到達するまでの構造を、 ただ、空間として提示したかった。 しかし、準備の段階で予期せぬことが起きた。 白黒パッケージを入手しようとしたが、 店頭から商品が消えていた。 ナフサショックによって白黒になった商品が、 今度は買い占めによって入手困難になっていたのだ。 色が消えた次に、商品そのものが消えた。 私たちはポテトチップス3品のキャプションに 「Backordered」と記し、そのまま壁に貼った。 会期中、壁に展示できたのはかっぱえびせんのみだった。 この状態もまた、展示の一部として機能したと思っている。 もう一つ、私たちが設計したことがある。 会場に入れる日を、水曜日と土曜日のみにした。 開場時間は、その日のInstagramストーリーズでのみ告知した。 インクがいつでも手に入らないように、 この展示もいつでも入れるわけではない。 そう考えたからだ。 会場はガラス張り。 閉場中も、外から中を見ることができた。 閉まっている状態もまた、 この展示の一部として設計していた。 ナフサ不足というニュースは、 多くの人にとって遠い話だったかもしれない。 しかし白黒になったポテチのパッケージを前にしたとき、 地政学リスクは初めて「自分ごと」になる。 私たちがこの展示で問いかけたかったのは、 そのことだった。 13日間、studio144はその問い...